通常に競馬のレースと言えば、芝コースやダートコースを、サラブレッドが普通に走るレースを思い浮かべる人が多いと思います。
そのようなレースは、あまり馴染みがない名称ですが、平地(ひらち)レースと分類されており、その最高峰が、いわゆるG1と呼ばれるレースです。
しかし、ある程度競馬に詳しくなってくると、平地レースだけではなく特殊なレースが行われていることに気づくのではないでしょうか。
それがいわゆる、障害レース(障害競走)もしくはジャンプレースと呼ばれるレースです。
ここでは、その障害レース・ジャンプレースについて解説していきます。
目次
障害レース・競走とは?
障害レースとは、文字通りコースにいろんな種類の障害が設置されています。
それを飛び越え(専門用語で飛越)つつ、ゴールを目指しながら着順を競うレースのことです。
陸上競技で例えるなら、110mハードルや400mハードルを思い浮かべる方も多いかと思います。
ですが、障害レースで使用する障害はハードルと違って、足が引っかかっても倒れないことや、いろんな種類の障害が設置されているので、ハードル競技とは違うのです。
そのため、3,000m障害競技の方が障害レースにかなり近いと言えるでしょう。
また、陸上競技の3,000m障害は、競馬の障害レースから生み出されたという説もあります。
障害レース・競走を開催しているのはいつ?競馬場は?
障害レースは、札幌と函館競馬場以外の全競馬場にコースが設置されており、通年で競馬開催日に1つの開催競馬場で行われています。
また、東西の主要競馬場開催とローカル開催の、いわゆる「3場開催」の場合には、基本的にローカル開催している競馬場で行われます。
障害レースは1日に1回程度しかない
障害レースは、出走可能な馬が少ないこと、障害に騎乗可能な騎手が少ないことなどから、通常は1日に1レースしか行われません。
また、障害レースは未勝利戦とオープン戦のみで構成されており、未勝利戦やただのオープンレースは4レース、特別レースや重賞レースは8レースに行わることが多いです。
ただし、中山大障害や中山グランドジャンプなどの障害G1(J・G1)は、メイン競走の11レースに行われます。
障害レースが行われる競馬場
先ほど説明しましたが、障害レースが行われるのは以下の8つの競馬場となります。
- 東京競馬場
- 中山競馬場
- 阪神競馬場
- 京都競馬場
- 中京競馬場
- 福島競馬場
- 新潟競馬場
- 小倉競馬場
障害レースのG1開催は意外と少ない
先ほど触れましたが、平地レースの最高峰であるG1と同様、障害レースの最高峰にもG1があります。
それが、春に行われる中山グランドジャンプと年末に行われる中山大障害の2つです。
中山グランドジャンプが4,250m、中山大障害が4,100mと、両レースとも通常の障害レースより長めの距離で行われるタフなレースです。
障害レースで予想するなら何に注目すべき?
障害レースには、平地レースとは違ったレースの予想の仕方や注目点が大きく3つあります。
- 飛越が得意な馬に注目
- 脚質で有利なのは逃げ・先行
- 騎手(ジョッキー)も重要
では、それらについて説明していきましょう。
(1)飛越が得意な馬に注目
障害レースと平地レースの差といえば、当たり前ですが障害の有無が挙げられます。
つまり、障害がない場合は、ただの走力が基準となるところに、飛越能力が大きな競走能力の要素として加わるのです。
特に、障害初出走(未勝利戦)の場合には、平地レースでの実績が人気に結び付きやすいのですが、飛越能力が低ければ、簡単に負けたり落馬したりしてしまいます。
競馬新聞などで、陣営の飛越に関するコメントをしっかりとチェックしておきましょう。
(2)脚質で有利なのは逃げ・先行
障害レースでは、飛越のときにスピードが落ちるため、どうしてもハイペースになりづらいです。
さらに、コースに一定の間隔で障害が設置されていることもあり、急激なペースアップができないため、後方から足を伸ばすことも難しくなります。
そのような理由から、障害レースで有利な脚質は、逃げや先行となるのです。
また、この点については、やはり平地レースでの走力も重要となり、走力が高ければ、基本的に前のポジションで競馬がしやすくなります。
(3)騎手(ジョッキー)も重要
障害レースは平地のレースと違って特殊な技術が必要なこともあり、障害用の騎手免許がないと騎乗できません。
両方のレースに騎乗している騎手(ジョッキー)もまれにいますが、多くは障害専門に乗っています。
そして、障害レースは負担斤量が重いこともあり、減量がキツイ騎手が障害専門で乗っていることもあるのです。
また、平地レースでも名騎手がいるように、障害レースにも障害レースが得意な名騎手が存在しています。
そのような騎手に注目して予想すると、馬券が当たりやすくなるでしょう。
障害レース・競争の7つの障害物とは?
では、障害レースで使われる障害物にはどんな種類があるのかを紹介していきます。
障害レースには以下の7つの障害物があります。
- 生垣(いけがき)
- 竹柵(ちくさく)
- 水濠(すいごう)
- グリーンウォー
- バンケット
- 置障害(おきしょうがい)
- 坂路(はんろ)
では、1つずつ見ていきましょう。
(1)生垣(いけがき)
垣根を飛び越えるもので、その垣根は地面から直接生えている場合と、土台(大きな花壇)から生えている場合があります。
(2)竹柵(ちくさく)
生垣と似ていますが、土台に枯れた竹を並べたものです。硬いので進行方向順に斜めに並べられており、逆方向からは飛べません。
また、生垣と違い、かき分けて飛ぶことが困難で、高い飛越が要求されます。
(3)水濠(すいごう)
ふつうは生垣の障害とセットになっており、生垣障害を越えたところに水が溜められた濠(ほり)が設置されています。
ここに着地するとバランスを崩しやすく、できるだけ越えてからの着地が理想です。
(4)グリーンウォー
これは、竹柵障害の竹柵を、本物の竹の代わりに人造の植物(竹など)に似せた素材を使用したものです。
(5)バンケット
必ずしもこれと特定できない障害ですが、急な上ってから下る坂(山)や、ちょっとした上り下りする(踏み)台などを指します。
(6)置障害(おきしょうがい)
平地レースが行われるコースに置かれるため、障害レースの時だけ設置できるような形になっています。
通常は人が組み立てて解体しますが、そのままトラクターで移動できるものは、可動式障害とも呼ばれます。
(7)坂路(はんろ)
バンケットの坂のパターンと逆で、下がってから上る坂(谷)のことです。
バンケットと区別せずに呼ぶこともあります。
障害レースは実際に馬券を買えば、その面白さがわかる!
障害レースは、過去には有馬記念より中山大障害の方が年末のビッグレースとして扱われ、人気が高い時代もありました。
しかし、危険性などの影響で、障害レース自体の人気が長い間下火になり、出走馬自体も減っしまいました。
一方で、近年はオジュウチョウサンなどの活躍馬が出てきて、再び人気が回復傾向にあります。
最初はわかりにくいところがあるかもしれませんが、飛越の度にドキドキしたり、思わぬ高配当を手にしたりすることも出来るレースです。
まずは、実際に何度か馬券を購入してみてはいかがでしょうか。